北海道の太平洋側に位置する胆振海岸は典型的な侵食海岸であり、現在、人工リーフと緩傾斜護岸の組み合わせによる面的防護工法が進められている。当海岸では、人工リーフの設置に当たって、その副次的な利点の一つである水産生物の蝟集効果を高め、周辺の漁場や生態系への影響をできるだけ緩和することが求められている。白老港西の胆振海岸萩野地区では、波浪が原因と思われる振動、騒音により海岸居住地の家屋に被害が生じるなど緊急に海岸保全を実施する必要が生じた。そこで、景観等に配慮した天端がほぼH.W.Lに一致する高天端潜堤が計画され、潜堤の被覆材には、安定性、消波性能が優れるとともに、空隙を大きくすることにより、海洋生物の着生や蝟集を促進する機能を付加された潜堤用ユニット(アクアリーフ)が使用された。完全に没水した人工リーフの地形への影響は、いくつかの報告がある。また、幅広潜堤上の付着生物については、庄司らが報告している。しかしながら、潜堤の天端が水面付近に位置する高天端潜堤に関する水理機能や生態系の変化に関する調査研究は見られない。そこで本研究では、現地において各種調査を3ヵ年間(年2回)実施し、高天端潜堤の水理特性や水産生物の蝟集・着生効果および底質環境について検討を行ったので、その結果を報告する。 |