河川防災対策情報の管理には、気象状況・降雨水位状況・各施設状況・浸水状況等の現況情報収集の過程及び収集した情報の判断・加工といった情報処理の過程、更にそれらの情報を必要としている所への情報の過程があり、どの過程に不備があっても全体としてうまく機能しないこととなる。又、情報の被伝達者は、その情報を基に判断し、行動を起こすこととなり、結果的に各種防災対策の効果・評価を左右することにもなる。したがって河川防災対策情報の管理は防災対策の中のソフト対策として河川管理者が主体となって検討し、自治体・各防災関係機関及び一般住民等も含めてシステム化を図る必要がある。具体的には、情報収集過程では、河川情報システムの整備によって雨量・水位・ダムに関する情報が大量・迅速に入手可能となっているほか、新たにレーダ雨雪量計・土石流監視システム等の導入が推進されており、ますます、情報収集の大量化及び迅速化が図られている。情報処理過程では、各開発建設部で洪水予測演算機の整備が進み、内容的にも単なる地点水位予測から発展し、洪水予測情報の立体的で多様な表示を行ない、より具体的で的確な予測へ向けて検討が進められている。更に情報伝達過程においても、洪水対策用ファクシミリが整備され、市町村向けファクシミリの整備推進や河川情報センターの設立等、新たな情報サービス形態の推進が検討されている。一方、これらの動きの背景となっているのは、河川を取巻く社会環境の変化であり、河川防災対策情報の管理システムの検討に際しては、この社会環境の変化を充分把握し、対応したものとすることが不可欠である。そこで本報文では、洪水対策情報について過去からの推移を整理するとともに洪水経験の風化・高度情報化・住民ニーズの多様化及び治水事業そのものの多様化といった河川を取巻く社会環境の変化を把握し、水害対策以外の災害対策の実情も踏え、河川防災対策情報の将来について考察するものである。 |