舗装の構造設計やオーバーレイ厚の設計を合理的に行うためには、その力学的な構造評価が重要な項目となる。舗装の構造評価で重要なことは、舗装を構成する各層の力学的性状を把握することである。すなわち、各層の荷重分散性能(層としての弾性係数)を把握することによって、舗装各部の変位、応力、ひずみなどを理論解析から求めることができ、さらには各層の疲労特性から舗装の寿命予測が可能になる。そのためには、舗装表面のたわみ量やたわみ形状の測定だけを行うのではなく、たわみデータと層構造理論とを組合わせるという解析手法が必要になる。今まで、各国において種々のたわみ測定装置が開発され実用化されてきているが、たわみ測定の精度向上、省力化、迅速化、層構造解析への適応性などから、測定装置としてはフォーリング・ウェイト・デフレクトメータが最適な機種と判断される。北海道工業大学が昭和58年12月にFWDを導入したことから、それを我々と共同で用いて新千歳空港滑走路舗装の施工途上においてたわみ試験を行った。ここでは、FWDによるたわみ試験の結果から、層構造解析理論(BISAR)を用いて、舗装を構成する各層の「層としての弾性係数」を推定し、解析手法について検討している。新千歳空港で調査を行ったのは、多層舗装であり、施工中のために各層ごとの調査が可能であることから、空港および道路舗装の解析手法開発に適切な箇所であったからである。 |