北海道開発局において、今後建設が予定される用水施設は相当量あり、開水路延長だけでも約400㎞にもおよぶ。その内、軟弱な地質条件下での施工延長は、約200㎞と見込まれており、そのほとんどが改修水路である。用水路を施工する場合、一般に軟弱地盤と呼ばれるものは、施工後の沈下に対して何らかの対策工法を必要とする地盤を総称しているが、従来、このような軟弱地盤における水路を改修する場合、標準貫入試験により地盤支持力を確認し、対策工法としては、杭基礎工を選択してきたのが普通であり、その高い安全性が確認されてきたところである。しかし、近年、水路改修に応用の可能性のある素材、技術が開発されてきており、より経済性に優れ、かつ安全な工法の実現に向けての研究とともに,多様な工法から対策工法を選択し、設計するためのより合理的な調査手法の検討が求められている。このような背景のもとに、昭和59年度、農業水産部「用水施設検討委員会」において「軟弱地盤用水路部会」が設置され、札幌開発建設部「軟弱地盤用水路工法検討委員会」が具体的に検討を進めることとなり、その第一段階として、総合かんがい排水事業空知中央地区、川向第1幹線用水路をモデルケースとして、昭和60年度から61年度にかけて、調査から試験施工までを行い、調査・設計法及び工法について検討することとなった。本報告は、その第1報として、昭和60年度に行った調査の概略を紹介するとともに、その調査法に関して、考察を加えたものである。 |