近年、農業基盤整備事業の進捗に伴ない、農作業機械の大型化及びその形式の複雑さが進んでおり、特に営農規模の欧米化が著しい道東の一大畑作地帯ではコンバインのポテトハーベスターなどの大型化が著しい。一方、農道については農業用車両の通行にとどまらず、地域交通網のバイパス的役割を担い、他産業の車両の交通量も増えている。このような農道や圃場を走行する車両はダンプトラックなどに代表されるホイールタイプと営農機械に見られるクローラタイプに分類できよう。ホイールタイプの車両により土中に発生する応力について考える場合は、道路の設計に代表されるように荷重分布様式を円形に置き換える手法が用いられている。これに対してクローラタイプに代表されるような長方形の荷重分布様式を持つ車両においては、基準化された計算法がない現状にある。このような長方形荷重分布のものを検討した例としては、荷重分布の形状を小さな円形輪荷重が連続したものとして設計する場合や、さらに、このような荷重により生じる土中のタワミ量を計算し、これと等しい量のタワミを与えるような単輪荷重を5t輪荷重に置き換えて設計する手法などが、一部の道路の設計に見受けられる。そこで著者らはクローラタイプの輪荷重のような長方形分布荷重により土中に生じる応力などの数値計算を実施し、土中に埋設されているパイプラインなどの畑地かんがい施設に対する外力設計をする場合や、農道などにおいて長方形分布荷重による応力などを計算する場合の問題点について検討してみた。 |