夕張川は、昭和11年の夕張川新水路通水によって、江別川(現在の千歳川)水系から分離され石狩川の一次支川となった。この新水路は、現在の千歳川から幌向川にかけて広がる平地部の洪水氾濫を防止する基幹となり、地域一帯の農業基盤の開発拡大に多大な効果を及ぼし、南幌町、長沼町等地域発展の大きな原動力となった。この新水路は、旧河道に比べて流路延長が1/3に短縮されたため河床勾配が急になり、また土質が軟弱な粘性土や泥炭湿地等であるため、新水路の河道維持や上流の工作物の保護を目的として当初、落差4mの清幌床止が設置された。しかし、新水路通水後間もなく新水路の河床洗掘が上流に及び、上流の工作物が危険な状態となったため、その直下流に第2番目の床止を施工し、その後の部分改築を経て現在の落差約8mの二段斜路構造床止となっている。設置以来この床止は、洪水のたびに被災を被ることが多く、幾度も補強あるいは維持補修がなされながら、約半世紀を経過しているなど老朽化が著しい状態にあり、また、昭和56年度に策定した「石狩川工事実施基本計画」に基づいて、夕張川の河道計画が見直された結果、計画高水流量を円滑に流下させるためには大きな障害となり、抜本的な改築が必要となった。このような状況を踏まえて、清幌床止の改築計画が進められていたが、昭和60年度に特定構造物改築事業として採択され、昭和61年度より事業実施の運びとなった。新計画の清幌床止は、落差6mの高段差に加え計画流量2400m3/sの大流量が流下する大規模施設であること、さらに当該地区が軟弱地盤であること、また、現在の床止周辺の河川空間が多くの一般市民に利用されていることなど、その構造形式並びに施工計画等に配慮すべき点が多かった。以上の様な状況にある清幌床止について流域社会の発展との関連をふり返りながら、夕張川改修開発効果を再確認するとともに、今回の改築計画全般とその検討経緯について本報告に取りまとめ紹介するものである。 |