水資源開発計画は多くの場合10年に1回程度の発生が予想される渇水を対象として立案・策定されているため、計画を上回る渇水が発生した場合に水不足が生じることは避けえない状態にあり、近年においても全国の各地で渇水による被害がしばしば発生している。そして、ひとたび計画を上回る渇水が発生した際に蒙る被害は、社会の高度化・集積化に伴ってしだいに大きなものになる傾向が認められている。しかし、このような計画を上回る渇水が発生した際にどのようにして水供給を行うかという問題は、現在の水資源開発計画においては十分な検討が行われていないケースが多く、渇水の発生時には、各地域において貯水池の貯留状況及び当該地域の水需要特性等を勘案しながら、そのつど運用方法を決定しているのが現状である。このため、水資源開発計画の立案・策定に当っては、渇水の発生頻度だけではなく、渇水がひとたび発生した後の被害の発生状況及び対応方法等についても十分検討を行い、社会の蒙る被害を最小限度にとどめうるような水供給施設の統一的運用方針の設定を試みることが必要であると思われる。本検討はこのような問題に対処することを目的として、豊平川流域における渇水発生時の貯水池運用ルールに関する検討を行い、その成果に基づき効率的な対応方針の設定と水資源開発計画への反映を試みるものである。 |