増毛港は、留萌支庁の南端の増毛町にある地方港湾である。当港は最大水深-5.5mの岸壁(2バース)を有し、地元経済に大きく寄与しており、その現有施設は係留施設が岸壁-5.5m 180m、物揚場-1.5m ―-2.5m 531m、外郭施設が北防波堤、東防波堤等であり、その他に機能施設として増毛漁協の上屋、倉庫、増毛造船、暑寒マリーナ等がある。港湾利用は大きくは次の2つになる。1つは沖合に広がる良好な漁場である武蔵堆での沖合漁業(いか釣り等)と、沿岸の浅海域でのホタテ、えび籠等の漁業の基地港としての利用、もう1つは公共事業用の石材の積みだし基地としての利用である。また、同町内の陸の孤島と言われた雄冬地区に連絡する定期船の運航もなされている。港湾活動の指標である取扱貨物は、昭和60年で286千トンであり、そのうち208千トンが公共事業用の石材である。この傾向は数年来変化していない。当港の隘路はいくつかあったが、その中で漁船の休漁時、越冬時の上架施設及び20トン以上の中型漁船の修理用上架施設の整備と、増毛港の各埠頭を結びさらに増毛港の位置する中歌湾を周かいする当港の幹線道路の整備が当面の課題であった。本工事は、この2つの隘路を解消し港湾利用の円滑化を進めるために実施されたもので、船揚場の施工は昭和61年度~昭和62年度の2年で実施予定であり、臨港道路は昭和61年度で完成したものである。このうち、船揚場については、港湾における通常の船揚場斜路勾配の1/10より緩やかな1/20を採用しており、また中型船以上の上架のために、レールを敷設する構造である。船揚場設置水深が-5.0~-6.0mと深く施工方法として一度埋立て後、裏込材投入のために掘削する方法をとっている。臨港道路については、未舗装の現道の拡幅を行う工事であり工事内容としては特に変わった点はない。しかし、道路法線が国鉄留萌本線と並行しており、特に昭和61年度の施工区間は国鉄の盛土を若干ながら削り、最も接近する地点で国鉄盛土の法肩から、5mという距離しかないため国鉄側と数々の協議を重ね国鉄側からの制約を受けての実施となった。 |