従来河川空間、ダム周辺空間は洪水の制御といった治水上の目的、水資源供給といった利水上の目的、あるいは使用後の水や雨水のはけ口といった余剰水処理の目的などに使用されてきた。とりわけ砂防河川では河床勾配の急な事、常時流量と高水流量の差の大きさ、出水の早さ、高水に含まれる土砂量の多さによる利用性の悪さ、洪水時における危険性の大きさから人々を近づけない空間等、河川と人とは分離すべき空間として扱われてきた。しかし近年、河川周辺空間、ダム周辺空間に対するニーズは、公園、運動場等オープンスペースとして積極的な利用の場、水辺景観のある憩いの場、地域振興の起爆材等々様々なものへと変化してきている。一方行政政策としてもマイタウンマイリバー構想、河川環境管理基本計画の作成など地域に対応した河川像造りを行っている。さらに長期構想としても「ゆとり」「うるおい」「老齢化に対応した」等、人間と河川の接点を求める基盤整備を目指すと伴に、ストックの増加に伴う維持費の増大を防ぐ1つの方策として民間活力の導入、地元活力の導入等についても触れている。これらの状勢の中で今のところ砂防事業は治水上砂防の目的+αの部分についてあまり検討されてないと思われる。本発表は今後要望が増加すると考える砂防空間、施設の利用可能性、治水治山目的に加えた「うるおい」、地域にとってより密着した事業等について豊平川直轄砂防区域の特に都市域をイメージしながら問題提起したい。 |