周知のように、北海道における本格的な開拓の進展は明治も中期以降のことであるが、その後の大正中期頃には、農耕に適した地域はほぼ開墾し尽くされるという異例の進捗をとげている。当然ながらこれに伴い、各河川では、橋梁、堰、頭首工などの構造物が数多く設置されていったが、当時の河川は、まだ未改修あるいは部分的な改修河川が多く、その後の本格的な河川改修等によりこれらの構造物改築や新設が行われてきた。石狩川においても、この間多くの大規模な構造物が設置されているが、その後の治水計画の改定もあり、現在、これらの中には構造の基準を示した「河川管理施設等構造令(昭和51年7月制定)」に合致しないもの、河川改修計画上大きな阻害となっているもの、あるいは耐用年数の到来等により老朽化の著しいものなど、今後、改築を必要とする構造物が数多く存在している。しかし、これら構造物の改築には多額の費用を必要としており、とくに許可構造物管理者との計画調整を含め、財政的・社会的制約などから長年月を要するという現状にある。従って、河川改修計画に基づいた段階的な事業計画を検討していく際、これらの構造物改築と河川改修計画シナリオとの整合性が常に重要な課題となっている。ここでは、大規模構造物改築計画の策定手順及び基礎資料となる各構造物の改築優先度に関する相対的評価方法等について検討を行ったものであり、一手法として紹介する。 |