天塩川流域には、2条7号区間も含めて現在176箇所の樋門管があり、それぞれに流域内の雨水等を集排水路によって集め河川へ放出している。しかしながら、農地や市街地の拡大化等の流域開発に伴う土地利用が変化することにより、雨水放出の集中度が顕著となり、その結果、流出量の増加をもたらし、当初の計画時よりも治水の安全度を低下させている地域もある。又、築後20年以上も経過して老朽化が進み、その機能を十分に発揮できないものや、工事実施基本計画の改定により構造令に合致しないものもある。このような樋門管は順次計画に合致するものに改築されなくてはならないが、樋門管を改築する際には各樋門管における内水放出量を検討しなくてはならない。しかし、樋門ヶ所においては、本川とは異なり計画流出量算定の資料となる既往水文資料がほとんど得られていない状態である。現在、樋門管の流出計算は、主に合理式モデルにより行われており、ピーク流量が過大に計算される事が懸念されている。そこで、本研究では、このような水文資料の不足している小流域の流出計算手法として、土木試験所河川研究室から提案されている総合貯留関数モデルを用いて計画流出量の計算を行い、このモデルの適応性について既往計算モデルによる計算結果との比較検討を行うものである。 |