近年のコンピューターの発達、及び普及は著しく、いろいろな分野で、高精度のシミュレーションを期待できる状況にある。様々な現象を全て、数式表現する事はできないので、シミュレート結果と現実の現象との間には、当然、違いが生ずるが、今後起こるであろう現象の予測、あるいは、起こった現象の原因の究明などには、すばらしい材料を提供してくれることになる。河川工学の分野では対象とする現象(降雨、流出、河床変動・・・・・・etc)が、いずれも、非常に複雑な要因、素因から成り立ちシミュレートの対象としてはむずかしい分野に位置するが、現場にミニコンクラスのコンピュータが普及され、流出解析(洪水予測、洪水再現計算)等で、培った技術を基にシミュレートと呼ばれる程度の事が出来る体制は整備されてきている。これらを背景とし、河川改修効果把握を主眼に置き、出水時の水防活動、改修箇所の最適計画(段階施工計画)等への有効利用を目的とした洪水シミュレーターが昨年度に概成されている。本論では、この洪水シミュレータを用いて、実績洪水の検証、及び6次5ヶ年計画の検証を行ない、その改修効果を明らかにするとともに、最適な施工計画を策定する上で必要となる資料を洪水シミュレーターによって提供する事ができるか否か、といった実用性の検証を行なったものである。 |