国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 水資源開発手法の適正化に関する検討

作成年度 1987年度
論文名 水資源開発手法の適正化に関する検討
論文名(和訳)
論文副題 昭和62年度(河-26)
発表会 昭和62年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和62年度技術研究発表会
発表年月日 1988/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
鎌田照章
工藤昇
安藤正幸
抄録
本研究は、石狩川本支川の流水の正常な機能の維持及び石狩大橋地点における正常流量100m3/Sを守りながら、公平な水資源開発の方式と管理方式について検討した結果をまとめたものである。石狩川は、流域面積14,330k㎡(全道の約20%)、幹川流路延長268km、年間総流出量約150億m3/Sとわが国でも屈指の大河である。石狩川流域には、道都札幌市をはじめ石狩、空知、上川3支庁の16市32町村が含まれ、流域内人口は約280万人(全道人口の約50%)に上がっている。また、石狩平野、上川盆地等の穀倉地帯を抱えており、水田面積は178,000haに及んでいる。さらに、夕張、芦別などの産炭地もあり、まさに北海道の政治、経済、文化の中心地となっている。石狩川の利水は、明治の草分けに屯田兵が入植して以来、農業用水、洗炭用水に始まり、その後のダム等による水資源開発を伴って、現在では農業用水約4,500か所で約570m3/S、上水等の都市用水約70m3/S、発電用水約900m3/S(最大出力約42万kw)が利用されており、母なる川として流域の発展に大きく寄与している。旧河川法時代の水資源開発は、開発優先方式により乱開発がなされ、石狩川の本支川の流況は、河川が本来有しなければならない流水の正常な機能を維持するために必要な流量を大巾に損なっているため、自然環境や生活環境に大きな影響を及ぼしている。新河川法は、河川が適正に利用され流水の正常な機能が維持されるよう、総合的に管理するために必要な制度の整備を図り、公共の福祉を増進させるため、昭和40年に施行されたものである。この法令を背景として、特定多目的ダムにおいては、流水の正常な機能の維持するために必要な流量が確保されていない河川に対して、新たに建設費を投じてダムに容量を確保し、渇水時にダムより放流し、下流河川の流水の正常な機能を維持するための事業も行っている。流水の正常な機能を維持するために必要な流量は、漁業、流水の清潔の保持、塩害の防止、既得水利権量など多岐にわたる検討により決められるもので、工事実施基本計画で定めることとなっている。石狩川においては、石狩大橋地点においておおむね100m3/Sと定められているが、河川法施行令では主要な地点で定めることとされており、本支川の他の地点においても定めなければならない。また、水資源開発手法については、従来より水資源開発の公平化(開発順序によりダムの容量規模に著しい差が生じないようなルール)やそれを実現するための管理手法の策定が叫ばれながら、未だ、その手法が確立されておらず永年の重要な課題であった。
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