国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 堤防法面のイタドリ除去について-刈り取りの繰返しによるオオイタドリの衰退枯死について-

作成年度 1987年度
論文名 堤防法面のイタドリ除去について-刈り取りの繰返しによるオオイタドリの衰退枯死について-
論文名(和訳)
論文副題 昭和62年度(河-34)
発表会 昭和62年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和62年度技術研究発表会
発表年月日 1988/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
長原融
嘉藤恒道
斉藤裕一
寒河江弘
抄録
オオイタドリ Polygonum sachalinensis Fr.Schmidt は雌雄異株の大型多年草で、本州中部以北、北海道、千島、樺太に分布している。茎の高さは2~4mに及び、葉は、葉柄2~6cm、葉身の長さ15~40cm、幅23cmにも達し、他草を圧倒して純群落をつくることが多い。陽性の草で、陰地には分布せず、原野、山地などの陽地に普通に見られ、河川堤防に繁茂することも多い。そして、河川堤防に繁茂する場合は、下草を枯らして、早春には裸地状態になり(イタドリは春の芽立ちの遅い草であるから。)、また、太い地下茎や貯蔵根が堤体に深く侵入するなどによって堤防を弱体化させる懸念があり、河川管理上重要な問題であると思われる。このような、河川堤防にとって有害なイタドリの駆除については、除草剤を使用する方法、堤体の表層を深く剥ぎ取って芝替する方法などがあるが、大規模な除草剤の使用に対しては環境上の問題があり、堤体を剥ぎ取って芝替する方法は、永年にわたってよく締め固まった堤防を剥ぎ取ることにより、堤防の弱体化につながり、また、経費がかさむ上に、わずかに残った地下茎によってイタドリが再生し、数年後には施工前の状態に戻る例も多い。最近になって、生態的にイタドリを衰退・枯死に導く方法が模索されるようになった。イタドリを生態的に衰退・枯死させる方法は、単的に言えば、イタドリ繁茂地に対して、繰返し刈り取りを行う方法である。すなわち、次の式が成立すれば、イタドリは枯死するはずである。A≦(x1+x2+・・・・+xn)-(y1+y2+・・・・+yn)ここに A;第1回の刈り取りを行ったときに、イタドリが保有している再生のための貯蔵養分総量。イタドリの貯蔵養分は、地下茎と貯蔵根に貯蔵されている。x1+x2・・・+xn;第1回、第2回・・・・第n回の刈り取り後に、再生のために消費される貯蔵養分量。y1+y2・・・+yn;第1回、第2回・・・・第n回の刈り取り後に再生したイタドリが、次回の刈り取りまでの期間に光合 成によって生産する生産物量より、体内消費量を差し引いた純生産物量(この量が貯蔵養分に加えられて、次回以降の再生に利用される。)もちろん、イタドリの枯死した時点で、堤防が芝草によって被覆されていることが重要で、したがって、イタドリの衰退と同時に、一方では芝草が繁茂する必要がある。今回のイタドリ除去に関する調査・研究は、網走川左岸、豊里築堤を試験地として昭和61年度より開始した。そして、2年目の植物期間が終わった現在、その方向が明かになった。したがって、残された問題もあるが、2年目の成果を中心にその概要を報告する。
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