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 これからの河川事業と河川広報について

作成年度 1987年度
論文名 これからの河川事業と河川広報について
論文名(和訳)
論文副題 昭和62年度(河-37)
発表会 昭和62年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和62年度技術研究発表会
発表年月日 1988/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
星野淳
森田康志
川端真樹
抄録
河川事業は、治水、すなわち地域を水害から守るということを第一義の目的として行われているが、地域の生活レベルで考えると、そこには様々な判断が生まれてくる。都市部における人口集中の中で、ニーズの多様化、個人主義の浸透の叫ばれる昨今、治水という観点のみで画一的に河川事業を推し進める事は、多くの場合コンセンサスを得難く、事業を進める上で困難の度合いを増している。戦後、諸外国に比べて立ち遅れた社会資本を整備するため、整備水準を近いところにおいて、とにかく整備率を上げる方向で進められてきた河川事業も、その質的向上、多目的化が求められており、現在それを模索中であるといえる。河川広報とは、河川事業に対して人々の共通の理解を得るために様々な情報を提供し、事業の円滑な推進、協力を得るための有効な手段として位置付けられる。特に、人口の多くが都市に集中している近年では、河川広報の重要性は以前と比較にならないほど高まっている。すなわち、都市の特性として位置付けられる流動性、多様性に対応するものとしての河川広報の意義である。都市の住民の大半は、自分の住んでいる場所についての正確な情報に欠けており、それが例えば低湿な水害常習地域の宅地開発という形で現れてくる。多くの場合、住民の河川事業への無理解は、正確な情報の欠如に根ざしていると考えられる。すなわち、河川事業を生かすためには広報によるところが大きく、広報は重要な武器となる。広報が単に情報提供のみにとどまらず、一つの国の世論まで完全に支配した例などは、第二次世界大戦前のドイツを考えれば明白である。ところで今までの河川広報は、ほとんどが官の発想、主体で一般に対して行われてきたものであり、人々は情報の受手として広報を取捨選択してきた。今後もこの形態が主体になると思われるが、多様化する諸情勢に対応するためには、より効果的で波及性を持つ広報が要求される。本報告は、今後ますますその重要性を増すであろうと考えられる河川広報について考察し、今後の河川事業に反映させようとするものである。
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