国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 寒冷地圏域の海跡湖における環境保全に関する研究-サロマ湖の水理・水質特性について-

作成年度 1987年度
論文名 寒冷地圏域の海跡湖における環境保全に関する研究-サロマ湖の水理・水質特性について-
論文名(和訳)
論文副題 昭和62年度(共-12)
発表会 昭和62年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和62年度技術研究発表会
発表年月日 1988/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
武内智行
宮本義憲
坂田年隆
増田亨
抄録
海跡湖とは、もともと海であったものが沿岸の砂州などによって境されてできた湖で、そのほとんどは海水と淡水の混合する汽水性の湖である。本州の海跡湖の多くは農地化や淡水湖化による高度利用が図られているが、東北地方北部や北海道のいわゆる積雪寒冷地には太古以来の自然条件、汽水性の特性を保つ海跡湖が数多く残されている。これら海跡湖は地質学的年代を経て形成されており、サロマ湖や能取湖などは最深部が20m程度あって比較的若い湖といえるが、1~5m程度の水深しかない湖沼は老齢の湖であり、河川からの流出土砂の堆積作用により浅い沼から湿原を経てやがて陸化する運命を辿る湖であるので、湖沼の機能の維持には多角的な検討が望まれている。このような自然の経過に加え、近年では湖及びその周辺地域の開発利用が急速に進みつつある。特に漁場としてのポテンシャルの高いサロマ湖などの海跡湖ではホタテ貝養殖などの集約的栽培漁業の大規模化に伴って環境の老化が見られるとともに、湖周辺の内陸部における人口の増減、農業開発、河川改修などに伴って湖沼に流入する河川水の量的質的変化が予想される。これらの変化に伴って湖の自然環境、機能、景観に影響を生じることも予想され、地域の開発と海跡湖の自然環境の保全を両立させる手法の確立が急務となっている。本研究は、湖とその周辺地域の開発との調和を図りつつ寒冷地圏域の海跡湖における環境保全対策に資することを目的として、海跡湖における物質の移流拡散、循環のメカニズムの解明など海跡湖の環境評価指針の確立に必要な研究を行うものである。そのため、昭和60年度よりサロマ湖を主たる対象として、流況、水質等の現地調査と流況シミュレーション手法の開発等を行っている。本報告では、主として61年度に行ったサロマ湖の水理・水質環境に関する調査結果を述べる。
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