白老港は背後に製紙工場を控えていること、肉用牛・スケトウダラといった流通物資が増加したこと、漁船の安全操業と地域の水産活動の拠点としての港の必要性が高まったことなどの背景から、第七次港湾整備五ヶ年計画に基づき昭和57年度に着工された地方港湾である。現在、東防波堤の建設を行なっているが、その基部付近の汀線が防波堤延長に伴い前進するといった海浜変形が見られることから、白老港付近の底質は活発に移動していると考えられる。そのため港の建設中、建設後における港内埋没など漂砂に伴う港の機能低下が懸念されることからその対策を立てることが急務となっている。当研究室においては、これまでに昭和47年度に行なわれた大津漁港の漂砂実験を初め、天塩港、羽幌港、岩内港といった港の漂砂現象を水理模型実験により解明してきた。本研究においてはこれを一歩前進させ、水理模型実験の面からだけでなく数値シミュレーションを導入し、(1)水理模型(移動床)実験による方法(細実線)、(2)数値シミュレーションによる方法(点線)、(3)水理模型実験と数値シミュレーションの組合せによる方法(太実線)、の3方向から漂砂現象の解析を行ない、さらに防波堤、岸壁といった港湾施設の建設計画との関連についても検討し施設整備のステージプランの資料を得ることを目的とするものである。本報では、その解析手法及び研究経過につき報告する。 |