港湾における諸活動が地域経済に与える影響は大きなものがあり、その経済効果は、港湾が所在する都市のみならず、周辺地域にも広く及んでいる。なかでも港湾における建設公共投資の影響は非常に大きく、地域の経済に多大な波及効果をもたらしている。しかし、近年の港湾整備事業における地方負担の増大は、港湾管理者にとってそれぞれの港湾の整備について再検討を迫られる等、非常に深刻な問題となっている。そこで本稿では、港湾における建設公共投資が地域に与える波及効果を計測することにより、地域振興に大きな役割を持つ港湾投資の重要性を明らかにしようとするものである。波及効果を計測するため、まず、昭和61年度に実施した「港湾建設公共投資実態調査」(北海道の重要港湾以上12港における港湾建設工事費の建設会社や資材会社等への流動実態を把握する調査)の結果より、港湾投資による資金の流動先と金額について整理し、地元産業への資金の流動状況を把握した。次に、流動資金が地域の製造業出荷額等の経済指標に占める割合を求めることにより、地域経済に及ぼす直接効果を計測した。また、地域産業連関表を使用することによって、港湾関連・港湾依存産業にとどまらず他の産業にも派生する港湾投資の間接的な波及効果について定量的に分析した。 |