北海道の沿岸および海域毎の海浜変形、副振動などのマクロ的な海岸・港湾特性を把握するためには、海象、海底地形、海流、底質などの自然に関する過去の情報の収集、新たな調査によるデータの蓄積、適切な手法による解析が行わなければならない。このうち、港湾施設の設計、運用に欠くことのできない波浪情報については、早くから整備され集中処理・管理されている。一方、海底地形情報の取得、すなわち、深浅測量も港湾関係者にとって最も重要な業務の一つであり、古くから行われているが、電算機処理可能な形でのデータの保管・管理は不十分なのが現状である。深浅図の数量化、従来から行われている深浅図(アナログデータ)の重ね合わせによる海浜変形の把握に留まらず、水深変化のトレンド、海浜変形土量の計算、さらには、水深を変数とする波浪場の計算、流れ場の計算、海浜変形など各種シミュレーションにおける入力データセットとして役立つものである。本文はこうした海浜変形特性解析などの基礎となる深浅図の数量化について基礎的検討を行うものである。深浅図など図形情報を数量化する手法はいくつかあるが、二次的利用(土量計算、断面比較、各種シミュレーションなど)に適したグリッド方式を取り扱う。深浅図の数量化はすでに港湾技術研究所で実施している。したがって、深浅図の事前処理(基準線、区域の分割etc.)などはこれを参考にすることとし、位置と対応した各種の数値データやコンターラインに変換される前の物理量にも対応できるような、入力データを格子交点に内挿する手法について検討した。 |