北海道での戦後公的な農地造成(開拓)は、引き揚げ者や戦災者の収容と食糧の増産を目的とした緊急開拓事業に始まる旧制度事業によって行われた。その後、社会情勢の変化に対応して、昭和36年に農業基本法が制定され、これに伴い、開拓事業も抜本的な改革が行われ、農家を主体にした開拓パイロット事業が発足した。この事業は昭和45年に農地開発事業となり、現在も継続している。旧制度事業は官主導型であったが、開拓パイロット事業からは受益者主体の事業へと大きく変化している。農地造成は未開の原野や山林を農地化するものであり、地表の原植生を除去あるいは処理する障害物処理作業と耕起や土壌改良資材の散布混和をする播種床造成作業よりなる。そして、必要に応じ、傾斜改良(改良山成工)、土地改良(暗渠、心土破砕、客土、除礫など)や土壌改良(炭酸カルシウムおよび熔成燐肥の施用)が行われる。これら工種の必要性は事業実施に先行する地区計画調査での造成対象地の土地資源調査で抽出される。本報告は道内の国営開拓パイロット事業および農地開発事業のための土地資源調査で明かにされた土地条件を分類整理し、今後の農地開発事業に土地資源的側面から資するものである。 |