十勝川流域の下流部には、下位段丘堆積層及び沖積層からなる粘性土並びに泥炭、腐植土が広く分布しており、特に十勝川の利別川合流点附近より下流部では、沖積層からなる軟弱地盤であり昭和35年、40年の地質調査時には、歩行も困難な箇所があったと記される程である。現在では当時に比べ河川の改修、地盤改良、農業等での水路整備が進み地盤の良質化は進んでいるとはいえ、まだ広範囲にわたり泥炭性軟弱地盤が分布しており、土木工事の施工が難航する原因となっている。この地域の土層分布は、地表面から5m前後の泥炭層を有し、その強度はqc=3kg/c㎡程度、含水比はW=200%以上であるが、河口附近の大津築堤では非常に軟弱な状態でqc=1~3kg/c㎡ 含水比W=500%程度を示していると共に、局所的軟弱地盤層が点在している。さらに泥炭層の下位は粘性土ないし砂質土が分布しており、粘性土は2~5mの層厚でその強度は、qc=3~8kg/c㎡ 含水比はW=50~150%を示し、全体で10m前後の軟弱な沖積層からなる。その下位は洪積層の礫質土となっている。このような地域における堤防の盛土施工に際しては、地盤の沈下、滑り破壊及び、側方塑性流動等の変形が生じやすく、局部的に高い盛土や、急激な載荷を行なわないように施工しなければならないが、現状ではまだ泥炭地盤の特異性、不確定要素等から、これらの問題点全てを避けきれてはない。 |