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 卯原内ダム監査廊の施工管理(冬期施工)について

作成年度 1988年度
論文名 卯原内ダム監査廊の施工管理(冬期施工)について
論文名(和訳)
論文副題 昭和63年度(ダ-12)
発表会 昭和63年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和63年度技術研究発表会
発表年月日 1989/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
塚元重光
平野健二
西村敏晴
抄録
国営畑地帯総合土地改良パイロット事業西網走地区は、網走市の西方に位置し能取湖周辺の低地部とそれに連なる台地からなり、4000haの受益面積を抱える事業である。この地域は、気象・土壌的要因から干害・風害が発生し、低地部については排水機能の著しい低下がみられる。又地区内には末利用地が残されており、農業の近代化、生産性の向上ひいては、経営の安定に大きな阻害要因となっている。本計画では、これらの阻害要因を解消し、経営規模の拡大と土地生産性の向上、労力の節減等により農業経営の安定を図ろうとするものである。このため、畑地かんがいの水源確保のため2級河川卯原内川水系卯原内川河口より上流約6kmの地点に総貯水量4300千m3の卯原内ダム(ロックフィル)を建設するものであり昭和61年度から工事に着手している。現在までのおもな工種としては仮締切・仮排水トンネル工の完成とともに、今年は監査廊工の施工を主体に実施しており、昭和68年度盛立の完了を目標として鋭意努力をしている。本報告は、厳冬期(月最低の平均温度が-20℃程度となる12月~2月)に打設されるフィルダム・監査廊の温度ひびわれ抑制・防止を目標とした施工管理について報告する。一般の寒中コンクリート構造物においては、初期凍害を防止する目的で圧縮強度が50kgf/c㎡(普通の露出状態のコンクリート構造物)になるまで養生する必要があるとされ、その養生期間としては、コンクリート温度を5~10℃程度に保てば4~5日間程度とされ、またその後0℃以上に2日間は保たなければならないとされている。(コンクリート標準示方書施工編P142)本ダム監査廊の様なマスコンクリート構造物(最大部材圧2.0m程度)においては、初期凍害の防止と共に、セメントの水和熱に起因する温度ひびわれに対処する養生を行う必要がある。初期凍害に対しては、一般の寒中コンクリートに用いられる養生を採用するものとし、温度ひびわれに対しては、監査廊躯体温度及びその周囲の温度を管理して対処していくものとした。温度ひびわれは、前述した様に、セメントの水和熱により躯体温度が上昇し、その後、外的環境により降下する過程に起る躯体の膨張・収縮が外部拘束(岩盤・既設コンクリート等)及び内部拘束(躯体内外温度差)により自由変形が拘束され引張強度以上の応力が発生した時に起るとされている。近年、温度ひびわれに対する研究が数多くなされ温度ひびわれの発生メカニズムが解明されつつあるが、コンクリートの初期材令の物性値(弾性係数、クリープ等)及び外部拘束等については明確に把握されていないのが現状である。温度ひびわれを検討する場合、発生応力とコンクリート強度を比較する検討方法(応力場)発生ひずみとコンクリート伸び能力とを比較する検討方法(ひずみ場)及び躯体内外温度データを検討する方法(温度場)等があるが、本ダムにおいては現場の実施工に迅速に対応可能な温度場に着目した施工管理方法を採用するものとした。
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