一般国道275号は、札幌市を起点とし、幌加内町・美深町などを経由し、オホーツク海岸に位置する浜頓別町に至る実延長283.8kmの道路である。これまで美深峠付近の道路は未改良であったため、幌加内町母子里~美深町泉間は冬季間交通止となっていた。しかし道路改良もほぼ完了したため、昭和63年度から本区間も冬季間の交通を確保することとなった。しかし、冬季間の供用開始に伴って生じる問題点として、斜面の雪崩発生による災害がある。このため、本路線の危険箇所と思われる斜面に、雪崩防止施設として主に吊柵を順次施工している。吊柵は切土斜面の雪崩を防止する施設として有効であり道内でも多く設置されているが、設計上未解明な点もある。その一つは積雪に伴って吊柵本体に作用する雪圧の作用機構や、その時間的変動特性などについてである。また吊柵本体と雪圧を支持するアンカーには、コンクリートブロック、鋼管アンカー、H鋼アンカーなどがある。鋼管アンカー、H鋼アンカーは急斜面上の施工も比較的容易であるが、支持機構や耐力など不明な点も多い。このため一般国道275号幌加内町朱鞠内湖南側の吊柵設置箇所において、雪圧測定用計器の設置および鋼管アンカー、H鋼アンカーの水平載荷試験を実施した。本報文ではこれらの内、水平載荷試験の結果について述べ、さらにアンカーおよびアンカーに土圧板を設置した構造の水平挙動について、横方向地盤反力係数K値を用いた弾性床上の梁とした場合の適用性について検討を加えた。 |