今、我が国農業は、農産物市場の自由化・国際化(ガット裁定、牛肉・オレンジ問題)を筆頭にアメリカ精米業者協会による米市場開放要求や世界的な食糧過剰基調といった国際化の波の中で大きく揺れ動いている。北海道農業も、決してその例外ではありえないばかりか、自由化・国際化の打撃、影響を最も強く受けるのは、北海道農業であるとも言われている。一方、農村社会に目を向けると相変わらず過疎化は進み、生活環境整備も遅々として進んでいない。また、農家は、過大な機械装備による莫大な負債と農地価格の低下による資産価値の低下・農地の非流動化・高齢化と後継者不足といった複雑にからみあった農業発展阻害要因の狭間で苦しんでいる。いまや、農業問題は農業内部のみで解決し得る問題ではなく、地域社会全体をどのように発展させていくかという視点に立って考えていかなければならない時である。農業を基幹産業とする農山村においては農業の発展そのものが、地域社会全体を活性化をするものであるが、農業内部のみで問題解決にあたろうとしても、先に述べた農業情勢・農家の現状からしておのずと限界がある。小樽開発建設部農業開発課ではこれらの難局を乗り切るための考え方として「農村リゾート構想」を提唱し、蘭越北部地区・仁木地区で「農村リゾート構想」を取り入れた実践的な調査を進めてきている。本報告は、「農村リゾート」の考え方と、上記2地区で行なった農村意向調査の結果を紹介し、今後の基盤整備事業は新しい農村社会を生み出す考えのもとで行なわなければならないことを提言するものである。 |