今日における営農作物、作付の変化(畑作物を基調とした生産展開)及び農地基盤等スケールメリットによる大規模農業生産への変換から、生産流通量の維持と安定経営を目指した開発事業が実施されている。とくに、道内では、農耕期間の寡雨条件、土壌条件等から営農用水の維持とその有効な水利用技術開発が望まれている。畑作では、一般畑作物への潅水技術開発に基づく配水計画、施設の最適な配置運転計画の擁立が必要であり、そのため土木技術としては、環境予測のための土壌水分状態取得システムの開発、気象、水文データの利活用技術開発、送配水計画計算のための電算機等利用技術開発等が必要と思われる。本論では、その基礎とも言える気象、水分データを使った作目ごとの日消費水量、有効雨量等の解析結果の要約を述べるものである。(道内の畑地潅漑地区における22ヶ所の圃場の資料から、大まかな気象条件区及び観測項目を考慮して、5圃場を選定し、データベースを作成した。)近年、先発地区である道外では、水利用状況と計画用水量に関する報告、また新しい観点に立つ、日消費水量計算方法、有効雨量の考えかたなどを報告しているものは多い。従って、本論では、このような報告例による方法についても検討した。 |