港湾分野における各物理量の計測には、主として電子機器とセンサーが用いられているが、海浜流観測のように多数のフロートによって流れの平面的な分布を把握しようとする場合、写真による記録と解析が行われる。こうした写真測量の技法は種々の計測への応用が考えられるが、従来の手法では記録の定量化に膨大な作業量を必要としたため、特殊な計測を除いては余り用いられなかった。しかしながら、近年急速に進歩してきたデジタル画像処理装置によって、可視化データの処理が容易に行えるようになってきた。画像処理の目的とは、画像データから必要な結果を得ることであり、そのために解析目的に適した形に画像を変換する。画像アナログ処理は、テレビジョン画像のように連続的な電圧の変化によって全体の輝度を表し、電気的にこの信号を変更することによって最終的に画面に現れる映像の調整をするものである。それに対し今回の研究対象であるデジタル画像処理は画像は連続的ではなく、離散的な点における明るさとして表現され、それぞれの点は、その画像中における数値による位置と数値による明るさをもっている。画像中のこの数値で表される明るさを操作することにより、コンピュータは複雑な処理を比較的容易に遂行できる。さらに、コンピュータのプログラムは柔軟な対応が可能であり、プログラム中の処理コマンドの種類、順序等を変更することにより目的に即応した処理を行える。本研究では、このデジタル画像解析装置の一つであるフレキシブル・イメージ・プロセッサPIP-4000を用いた可視化データの定量解析手法の概要について報告する。 |