現在、河川については各分野にわたり多くの研究がなされており、それぞれの研究によって河川管理が一つのシステムとして存在している。しかし、従来の河川管理は、河川工作物や水利用・水利権といった面が重視されていた。近年、水質汚濁が表面化し、『水質の管理』が注目されるようになった。また、各河川・区間別に「環境基準」が設定されてからは、その基準を達成し、維持することが河川管理者の課題であり責任となっている。河川管理の中の水質管理は、都市化・工業化による廃棄物質の河川への流入をどのように制御するか、またすでに汚濁の進んだ河川をどのように復起するかを扱っている。したがって対象となる河川の処置をどのような方法で、どの程度行なうかという水質の管理計画を作成し、水質の良化につとめることにある。水質管理計画から決定される水質の目標は、河川に関係するすべての人の合意によるべきであるが、その合意を得る方法は必ずしも明確にされておらず『生産』を重視する場合には水質汚濁が進行し、逆にそれに不快感をもつ人が多くなれば、法律の制定や下水道の整備・建設が行なわれる。つまり環境に対するコンセンサスが水質にも大きく影響すると考えられる。これらのことから水質管理を考えると、地域的あるいは流域という一つの河川エリアを対象とした水質管理計画が望ましいと思われる。「都市河川の水質管理」として、札幌市内を流れる豊平川を対象とし、水質管理計画を考える序章として実証論的な考察を行なう。 |