近年の人口の都市集中・生活水準の向上・産業活動の拡大は、都市用水を中心とした用水の需要を飛躍的に増大させた。このため水の需給関係はひっ迫し、利水安全度も低下してきており、生活用水に不足をきたす例も多くなってきた。また、水資源の不足は、水利用形態の複雑化と相まって、水利用計画等の硬直化を招いており、流域内での合理的な水循環・水配分を考えることが重要な課題となってきた。一方、水需要の増大は排水量の増加をもたらしたため、河川水質の悪化という新たな問題を生ぜしめた。これは環境保全上の理由から水利用への制約条件となるばかりでなく、下流域での取水水質の悪化を招くことを通じて水資源を減少させた。流域の全ての水利用行為は、決して独立な存在ではなく何らかの形で流域水循環を仲立ちとして結びついており、個々の水利用相互の影響関係はますます複雑化してきた。そこで、河川水を中心とする流域の水を円滑かつ適正に利用・管理していくためには、流域内の水循環機構、水利用・土地利用状況とそれらの相互関連を踏まえた総合的かつ包括的な視点が重要となる。このような観点に基づいた判断資料を得るための流域管理ネットワークモデルによる水循環モデルを作り、空知川でケーススタディを行ったのでその検討結果をここに述べる。 |