石狩川流域は、明治時代以降の開拓者の辛苦と努力によって、現在では道内随一の水田耕作地帯となり、北海道の政治、経済の中心である札幌市をはじめ48市町村を有し、流域内水田面積は約17万ha(S54現在)と全道の65%を占め、人口は約265万人(S55国勢調査)と全道の48%を占めるに至っている。さらに、現在までの流域の変化や、S53年2月に決定された新北海道総合開発計画における本流域の役割などから見ても、今後、流域の一層の発展、人口や産業出荷額の増大が予想される。しかし、この様な流域の発展は、上水道用水や工業用水などの都市用水需要量の増大を生み、また、近年の水田における深水かんがいの実施など農業技術の進歩も農業用水量の増加を促がす結果となるが、河川の水供給能力は、限度に近いため、渇水時には、維持用水の不足や、取水不能などの問題を生じ、その被害も増加する傾向にあり、昭和51年には、河川水不足のため発電制限や農業用水の節水などが行なわれることとなった。このため、早急に、有限な水資源である河川水を適正に使用するため、低水管理を行なうことが必要となってきた。これは、河川流況、利水状態、水収支などを把握し、渇水時には積極的に対策を図ろうとするものであり、本報告は、この低水管理のために検討した流域貯水槽モデルによる低水流出計算手法と河川の流況の縦断的、時間的な分布を把握するための流量分布表、及びこれらを用いた低水管理システムについて述べるものである。 |