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 ホッキガイの減耗について-海氷の貝殻破壊による減耗-

作成年度 1981年度
論文名 ホッキガイの減耗について-海氷の貝殻破壊による減耗-
論文名(和訳)
論文副題 昭和55年度(A-17)
発表会 昭和55年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和55年度技術研究発表会
発表年月日 1981/10/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
渡辺栄一
抄録
ホッキガイは、北海道特産でホタテガイに次ぐ有用二枚貝であるが、未だその増殖技術は確立されていないため、本格的な増殖は行われていない。増産を図るためには、その減耗に大きな影響を及ぼす要因を除去・改善することが有効な手段の一つと考えられ、その技術の開発が強く望まれている。ホッキガイの減耗要因を明らかにするため、昭和54年に根室支庁別海町の野付漁業協同組合管轄のホッキガイ漁場を対象に、ホッキガイの減耗にかかわると考えられる要因とその影響について調べた。その結果、成貝については、波浪が減耗に対し大きな影響をしているなど二・三の知見を得た。しかし、稚貝については、明確な減耗要因は見出せなかった。例年7月から8月に発生する稚貝は、越年し翌春までに相当量の減耗があり、その生残量は極めて少なくなるといわれている。この稚貝段階の減耗を低めることは、増殖を図る上で大きな効果が期待されている。特に、オホーツク海域や根室湾では、毎年海氷の発生があり、これがホッキガイ稚・幼貝の減耗に大きな影響を及ぼす要因の一つにあげられている。海氷によってホッキガイが減耗する可能性のある現象として、①波、流れ、風などにより海氷は浅瀬に到達・着底し、海底に荷重を伝達する。更には、高潮時に着底した海氷は、低潮時には浮力が小さくなるために海底に伝達する荷重は増大する。このため潜砂している貝の貝殻を圧壊する。 ②波などにより海氷が上下動し、海底に動的な力を作用し、貝殻を破壊する。 ③着底している海氷は、波・潮流や後続する海氷に押され、水平移動することにより、海底表層部は掘り起されたり、水平移動する。このため貝殻は摩耗されたり、せん断を受け、破壊に至る。 ④以上の1~3の組合せによる破壊。 ⑤海氷の発生のため、呼吸困難、摂餌困難、凍結、低水温などによる生理機能の低下に起因する減耗。などが考えられる。本文は、海氷によるホッキガイの貝殻破壊といった物理的な面からの減耗を明らかにするために、別海町床丹地先のホッキガイ保護水面を対象に、ホッキガイの生育環境の調査および貝殻の破壊試験を行い、更に、海氷によるホッキガイの破壊の可能性について検討したものである。
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