本文の特殊コンクリートとは、水中で施工した特殊なコンクリート、すなわち、「ハイドロクリート」のことを云い、特殊な高分子混和材の効果により、まだ固まらないコンクリートのセメント、細骨材、粗骨材など構成粒子がよく粘着され、セメントの洗い出し、また骨材の分離等が極度に減少する特性を持つ西ドイツで開発され、最近我国に導入された新らしいタイプのコンクリートのことである。この度、苫小牧港湾建設事務所において、構内施設(船舶上・下架斜路)をこの新製品「ハイロドクリート」を用いて補修したので、その特性及び施工概要を述べることにする。斜路の構図は、水際線附近の構造は海底面上に階段状に直径6mの鋼板セルを7基直列に設置し、その中に中詰石を填充し、頂部中央にブロック張り、その上にレールを敷設したものである。本施設は昭和40年に施工したもので、最近鋼板セルの頂部の腐食が著しく填充中割石が流失し、危険な状態となったので、昭和55年度にこれを補修することになった。補修工法としては袋詰コンクリートによる方法と、「ハイドロクリート」による方法が考えられたが、施工性等から「ハイドロクリート」による方法を採用した。工法は、ブーム式コンクリートポンプ車を用い、ブーム先端約20mにゴム製延管を取付け、ダイバーにより水中落下(0.2~0.3m程度)投入を行った。従来の水中コンクリートのようにセメントの流失、レイタンスの発生を防ぐための水の静止又は、水中落下防止を配慮しないで施工したもので、作業は容易に進められ打設量15.7m3を3時間弱で10個所に分散打設し、満足する状態で完了した。また、品質管理面では、現場抜取コア供試体の材令28日圧縮強度が気中製作供試体の強度80%程度で、2個所から1本づつ採取したコア供試体の強度、外観等から品質の均質性が確認された。 |