船揚場諸元の基準については「漁港構造物設計法」や「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に示されている。しかしこの基準は「船揚場の斜面上で直接揚げ降ろしする小型船舶の施設を対象」としたもので、レール式や滑台式による船揚場の諸元については示されていない。一方北海道においては冬期の気象が厳しいため、漁船を上架して越冬することが多く、相当大型の漁船まで公共船揚場を利用している。又近年の石油事情の悪化により従来迄は小修理でも造船所のある港に廻航していたものも極力地元の船揚場を利用する傾向にある。これらの漁船が現在行なっている上架方法は、10t未満船の大半を動力ウィンチによる斜路上での直接揚げ降ろし、10t以上20t未満船はレール式又は滑台式が半数、20t以上はほとんどがレール式と滑台式による方法をとっている。又将来の船揚方法について調査したところによると、今後とも斜路上での直接揚げ降ろしを行うとしたものは5t未満船のみで5t以上の漁船はすべてレール式又は滑台式、その他(クレーン式、リフト式)の方法に移行していきたいと答えている。以上のことからレール式又滑台式の上架施設建造の要請が今後多くなることが予測されるのでこれらの方式による船揚場諸元考察の一資料とするため実際の下架状況を調査したので報告する。 |