『蛇紋石を主成分鉱物とし、通常多少の磁鉄鉱、クロム鉄鉱などを含み、超塩基性岩から蛇紋岩化作用によって生成され、源岩のカンラン石、輝石などが残存していることがある』とされている蛇紋岩が分布する地域における建設工事に際しては、その工学的特異性から困難に遭遇する場合が多く、その適切な取扱い、または対処の方法が工事を円滑に進めるうえでの重要な課題となる。すでに、極めて大きな膨張性土圧の発生下におけるトンネル工事、地山の開削に伴う地すべりや斜面崩壊に対する対策工事などに関する若干の事例や関係機関における研究を通して、建設工事との関連における蛇紋岩についての知識、技術が蓄積されつつあるが、それらの解明、確立はほとんど今後の研究によらざるを得ない状況にある。蛇紋岩質土の盛土材料としての適用性の判定または使用のための技術的対応についても、僅かの経験があるものの、蛇紋岩の質の地域的な差異もあって、考え方が整理されるまでには至ってない。ここでは、北海道の南北の軸に沿って分布する蛇紋岩地帯のうち、問寒別蛇紋岩体を横断する一般道々豊富遠軽線(豊富中頓別線)の向八線沢および知駒工区における蛇紋岩堀削土を盛土材料として使用する際の設計、施工上の問題点を整理するとともにその対策について検討した結果を報告する。 |