最近問題になっているアスファルト舗装道路の横断方向ひびわれについて、道内におけるその分布の実態や発生形態などを53年度から調査・研究し報告してきたが、その分布は国道・道々を合わせると、舗装済延長に対し12.3%にも発生しており、すでに補修を施した分を入れると相当な範囲に及んでいる。この種のひびわれは、前調査報告や北海道大学工学部の菅原研究室での研究などによって、アスファルト混合物の温度変化による膨張・収縮や路盤との摩擦拘束などによって生ずる温度応力が主な原因であると明らかにされている。これが特に低温域でかつ急激に変化した場合、応力の緩和がされにくくなり、アスファルト混合物の破壊引張強度ないしは破壊ひずみを越えてひびわれが発生あるいは増加するものと考えられている。しかしながら、現地での発生地区においてはひびわれの有無や増加の多少などの差が生じており、これらが種々の要因と深く関わりがあることを示していものといえる。そこでこの種のひびわれの防止や補修対策の確立には、基礎的な室内実験や現地観測によって、種々な要因間との関連をは握することが必要である。このようなことから本文では、現地アスファルト舗装の温度とひびわれ幅の動きの自記観測結果と、室内実験による現地切取および室内作製供試体の温度伸縮データなどから、アスファルト混合物の諸要因による温度伸縮の量や形態などについて報告する。 |