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 寒冷地の農用地造成における土壌改良の資材および施工法について

作成年度 1981年度
論文名 寒冷地の農用地造成における土壌改良の資材および施工法について
論文名(和訳)
論文副題 昭和55年度(E-1)
発表会 昭和55年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和55年度技術研究発表会
発表年月日 1981/10/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
石渡輝夫
矢野義治
真鍋和夫
宮本務
抄録
国営事業の農用地造成において、土壌改良工は、土壌の化学性を改良する唯一の工程である。この土壌改良工は、土壌酸性矯正のための石灰資材と、土壌の燐酸固定力を抑制するための燐酸資材の施用工程よりなる。農用地開発事業は、農地開発事業と草地開発事業に大別されるが、土壌改良工の使用資材や施工法は、両事業で異なる。そこで、土壌改良資材の合理的施用法について検討を行うため、試験を行うこととした。まず、現行の土壌改良工を農地開発事業と草地開発事業について比較すると、次のようである。(1)土改材施用量石灰資材の施用量は、両事業ともに同一の施用量算定方法によっている。即ち、土壌改良深15㎝の土壌に対し、容積量を考慮して、緩衝曲線法により、PH6.5(農地開発事業では作物により、PH6.0の場合もある)に中和するに要する量が、施用量とされている。燐酸資材については、両事業で、施用量の算定方法が異なる。農地開発事業では、土壌改良深15㎝の土壌に対し、容積重を考慮して、燐酸吸収係数の1%に相当する量である。一方、草地開発事業での燐酸施用量は、「土壌中の有効燐酸が、牧草の定着の制限因子とならない量」とされ、土壌の容積重は考慮されず、燐酸吸収係数の5%に、土壌中の有効態燐酸量から得られる値を加え、さらに150を加えた量で、200を下回らない量(㎏/ha)である。これ以前の算定方法は、目標生草収量より、計算した。(2)土改材の施用法および使用資材石灰資材については、両事業ともに、炭酸カルシウムが用いられ、15㎝(土壌改良深)までの土壌と混和され、15㎝までの土層が改良されている。しかし、燐酸資材の混和深は、事業により異なる。農地開発事業での燐酸資材は、炭カルと同様に、15㎝までの土壌と混和されるが、草地開発事業では、表層にごく浅く混和されるか、表層施用される。このため、農地開発事業での土改材の施用においては、く溶性燐酸を含み、炭カルとの化学反応がおきにくい熔成燐肥を燐酸資材として用いる。熔燐は土改材散布機(ライムソーア)に炭カルと一緒に積み込まれ、同時に施用される。重焼燐は、水溶性燐酸が多く、炭カルと混合した場合、化学反応をおこし、炭カルや燐酸の効用が減少するおそれがあり、さらに、粒径が大きいため、均等散布が難しいとされている。このため、農地開発事業で重焼燐を用いようとすると、炭カルと別途散布になり、一工程増加させねばならない。したがって、農地開発事業では、重焼燐は用いられていない。草地開発事業の燐酸資材は、炭カルと混和深が異なるため、炭カルとの同時施用はできない。このため、炭カルとの化学反応などについても考慮する必要がないために、燐酸資材として、熔燐あるいは重焼燐が用いられる。この燐酸資材は、多くの場合、播種時に施用される。以上のように、農地開発事業と草地開発事業では、土改材の施用時期、混和深および使用資材が異なる。一方、土壌化学的には、炭カル施用、即ち、土壌の酸性矯正は、燐酸固定力の一因である土壌のバン土性を抑制する。このため、燐酸の肥効増進対策として、土壌反応を矯正した後、燐酸を施用することが良いと一部にいわれている。そこで、土壌の燐酸固定力に及ぼす炭カル施用、即ち、酸性矯正の影響や、現在、多くの場合、行われていない9月以降の土壌改良工の、実施における可能性の検討も含めて、土改材の施用時期(炭カルおよび燐酸の同時施用、炭カルの先行施用および炭カルと燐酸の前年施用)、燐酸資材の混和深(表層施用と全層施用)および燐酸資材の種類(熔燐および重焼燐)について検討を行うため、牧草を供試作物として、昭和53年度より昭和55年度まで、圃場試験を行った。その圃場試験の結果と、インキュベーション試験の結果を報告する。
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