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 カルフンフィルター理論による河道洪水追跡法

作成年度 1985年度
論文名 カルフンフィルター理論による河道洪水追跡法
論文名(和訳)
論文副題 昭和59年度(D-28)
発表会 昭和59年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和59年度技術研究発表会
発表年月日 1985/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
星清
抄録
河道内洪水逐次予測は洪水生起時に洪水災害防止あるいは軽減のために、的確かつ迅速な洪水予報の情報を供することを第一の目的としている。したがって、洪水逐次予測手法がかね備えなければならない要件は(a)計算が迅速であること(b)高精度の水位ないし流量予測ができること(c)洪水追跡モデルに含まれるパラメータをオンライン同定できることなどである。河道内の洪水波伝播は開水路不定流方程式で記述され、洪水追跡モデルとして広範に用いられている。しかしながら、不定流方程式の解法も数値解によらざるを得ない現状である。また、数値解法においても、各河道点における入力情報が多量必要であり、計算が非常に煩雑となるため、上記(a)の要件を満たすことができない。そこで、本報告では不定流方程式の近似化による速水によって提案された輸送一拡散式に基づく手法を洪水追跡モデルとして採用する。洪水逐次予測に関するもう一つの重要な課題はどのような予測理論を用いるかである。現段階ではカルマンフィルター理論が最有力視されている。カルマン予測理論のいくつかの特徴を以下にかかげる。(a)システム方程式と観測値方程式を定義する必要がある。(b)システム方程式に含まれる状態変量の設定が重要となる。このとき、状態変量のすべてが観測される必要はない。たとえば、洪水予報では水位の将来予測が必要となるから状態変量と設定した方がよい。一方、洪水追跡モデルパラメータは洪水期間中たえず変化していることが予想されるが、観測することは不可能である。モデルパラメータを水位予測と同時にオンライン推定する必要がある場合には、これらも状態変量に含めることができる。(c)最新の観測値情報(水位観測値)をもとに状態変量が更新されるので長い過去のデータを必要としない。(d)モデル構成も複雑ではなく実際の運用面でも大きな困難を生じない。本報告では、洪水追跡式にカルマンフィルター理論を適用し、とくに計算機シミュレーションによってモデルの有効性と妥当性を検証した。カルマン予測理論を分布定数系モデルである速水式に適用するときの最大の難点は、河道分割数が増加するに伴い、計算量が膨大になることである。とくに、行列演算は計算時間を飛躍的に増加させる。実際問題として、小型計算機を用いて計算しなければならない状況下では、この難点を克服するため、行列演算を極力さけ、計算に必要な行列要素の一般化をはかる必要性がある。本報告でもこの点に努力をはらった。
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