厚生白書によると、現在の我が国の高齢化率(65歳以上人口が全人口に占める割合)は17.2%で、概ね6人に1人が高齢者という構成になっています。高齢化率は少子化と相まって今後も急速に上昇すると推測されており、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成9年1月推計)」によれば2020年には約27%、2050年には約32%と3人に1人が高齢者という時代を迎えると予測されています。一方、サンルダムの建設が行われている下川町の、現在の高齢化率は29.8%となっています。これは全国平均の高齢化率を約30年先取りする形で高齢化が進んでいる事を意味しており、この地域で行われる大規模な公共事業は、将来の公共事業の有り方を探る上で格好の試金石になると考えられます。この様な背景を踏まえて、サンルダムでは、高齢化社会に対応した公共事業の一つの有り方として、高齢者がこれまでに身に付けてきた知識や技能を地域や社会の中で生かせる機会として公共事業を提供することで、質の高い公共事業を実現すると共に、高齢者自身の生きがいという観点からもその一端を担う事が出来ないかと考えました。本報告では、その第一歩として、サンルダム湖岸緑化を地元に住む高齢者の方々の協力を得ながら実施した取り組みについて報告します。 |