漁川ダムでは昭和56年頃からカビ臭が発生し始め、特に平成5年からは毎年のように大規模なカビ臭の発生が見られ、特に春季から秋季にかけて高いジオスミン濃度が観測されている。また、漁川ダムは石狩川東部地区(恵庭市、北広島市、江別市、千歳市)に水道源水を供給しているため、異臭の苦情が多く利水者から早急な対策を求める要望が出されている。解決の手段として、ジオスミンの発生メカニズムを調査し2つの改善方法と1つの防止対策について検討を行った。改善策には湖水循環装置の設置と棚状に堆砂している部分の掘削であり、防止策はダム上流に貯砂ダムを設置することである。これらの方策による成果は、まだ工事を始めたばかりで予想される効果として以下のことが期待できる。・湖水循環装置により、ダム下層の常時好気状態を保つことで、放線菌の死滅によるジオスミン発生の抑制とマンガンやアンモニアの溶出を防止できる。・放線菌の増殖・供給の場となっている棚状の堆積土を掘削し、流入水と下層水の混合促進を図って嫌気化を抑制し、カビ臭の発生を抑える。・貯砂ダムにより、上流からの土砂の流入を抑制し、貯水容量を確保することで希釈効果が高まり、貯水池全体の水質浄化能力を増強できる。本報告では、湖水循環対策と堆積土砂掘削対策の2点について報告する。 |