河川での油事故は発生源から遊離し、流水面を拡散しながら稀薄な油膜となって移流する。このため流下過程の油量を推定することが難しく、主に現場での事故処理は、下流部にフェンスを張り、通過する油をそのフェンスの上流で可能な限り食い止め、それを吸着材で除去する方法が取られている。しかしながら、河川の流動性に適応したこのような処理方法に対する吸着材が少ないため、海域での処理に用いられている資材を代用しているのが現状である。この背景には、タンカー等の海難事故を主眼に、多量の流出油が海域の環境に与える影響を鑑みて、旧運輸省が市販の油処理機材に厳格な規格を定めたことで、海域対応の資材が普及したことにある。一方、流動性の大きい油を効率よく処理できる吸着材の開発が難しかったことや、河川での油事故の規模が小さく影響も少ないとみなされる傾向から、河川対応の規格化が進まなかったという経緯がある。以上の問題を踏まえ、まずは河川での流出した油量を推定するため、外観から光学的に予測する方法を検討した。また、市販の各種吸着材の特性を比較実験した結果、各々の特性から油の種類や油質の状況に応じた効果的な吸着材の選択方法や効率的な除去方法についても、幾つかの知見が得られたので、その成果を報告する。 |