平成9年の河川法改正に伴い、従前の治水・利水と並んで河川環境の整備・保全や地域の意見反映が位置づけられたことから、中長期の計画制度のみならず、個別具体の工事実施の際にも、それらの視点を持って取り組むことが基本的に重要になってきている。本題の大曲右岸低水護岸工事箇所は、空知管内樺戸郡月形町の「皆楽公園」として多くの人々に親しまれている箇所である。当公園は、昭和30年に通水した石狩川本川のショートカット工事によりもたらされた三日月湖に由来し、以後、月形町の市街地・農地を氾濫から守る内水ポンドとして重要な治水機能を担っている。しかしながら、幾多の洪水と融雪出水を経験する中で、水位変動や風波浪に伴う河岸侵食が顕著になっており、早急な河岸保護対策が必要となっていた。その一方で、当公園は、動植物や雄大な景観など自然環境が豊かであり、キャンプ場、釣り場、ボート乗り場、各種イベント等の高度な空間利用が図られ、年間20万~30万人規模の観光客が訪れる地域活性化の拠点となっており、病院、社会福祉施設も隣接している。このため、当該護岸工事の施工にあたって、治水安全度の確保はもとより地域意見の反映、自然環境保全、バリアフリー対応、「花の里つきがた」の特色を生かすなど様々な角度から工法の検討が必要とされたことから、これらの検討経緯と工事の施工概要を報告する。 |