これまで、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした社会構造を基盤に、便利で物質的に豊かな生活を手に入れてきた一方で、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、森林破壊、海洋汚染などの地球規模の環境問題や廃棄物問題は深刻化し、資源の枯渇化は進んでいる。これらの問題を根本的に解決し、地球を永続的に次の世代に受け渡していくためには、社会のあり方そのものを、環境負荷・資源消費量の少ない循環型社会に変革する事が求められている。しかしながら、現在顕在化している問題の多くは、それぞれがトレードオフの関係にあり、局所的な問題解決を試みても、それが、循環型社会の到来に向けて、普遍的な正答とは言えない。このトレードオフの認識が高まることによって、環境のみならず経済的側面まで含めて、総合的・総体的に考える「ライフサイクル思考」が今後の環境対策に重要視されるようになった。また、1997 年12 月に、国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)が開催され、「京都議定書」の中で、2008 年から2012 年まで5年間の温室効果ガスの排出量を、1990 年比べて6%の減少することを我が国は義務づけられている。これを受けて、事業者は、製造から廃棄・リサイクルまで一連のライフサイクルの過程を通じて、より環境負荷の少ない製品やサービスを提供する責任が求められ、消費者も、より環境への負荷が少ない製品を選択しようとする意識が定着してきている。これに従い、公共においても、社会資本の開発整備管理運営の手法に関して、時間的空間的に総体的な事業の検討を行い、循環型社会形成に貢献することが求められている。 |