| 北海道東部の酪農専業地帯では、草地面積と経営規模の拡大や、河畔林の減少が進む中、1980年代頃から河川・湖沼等の水質悪化が報告されている。一方で、近年、農業地帯の河川や排水路沿いの河畔林が、土砂や栄養塩類の直接流出を防ぐ緩衝帯の役目を持つことが明らかになるとともに、湿生植物を用いた水質浄化法の研究事例も蓄積されている。このような背景から、平成11年度に着工した環境保全型かんがい排水事業別海地区では、「浄化型排水路」の整備を進め、たん水被害等の解消とともに、土砂緩止林や排水調整池および遊水池などの浄化施設により、河川水質の浄化を図ることとしている。これらの施設が水質浄化機能を有することは既に明らかになっているものの、本地区のように積雪寒冷地における農業用排水路の附帯施設として施工された事例は少ない。そのため、これら機能を定量的に把握し、効果を検証するとともに、設計・施工方法に関する知見を集積することが必要である。そこで、平成13~14年度に浄化型排水路のモデルとして第三清丸別排水路を整備するとともに、平成14年度から水質浄化機能等に関する検証調査を開始した。本報では、モデル路線の整備状況と、機能検証調査の計画および現在までの調査結果について報告する。 |
