火山灰地盤における杭基礎の鉛直支持力は、火山灰土が一定のせん断強度を有するとされていることから現在のところ砂質土に準じて算出されている。しかしながら、一般に粗粒分を含む火山灰土は破砕性粒状体としての性質を有しており、砂とは異なるせん断特性を示すことが報告されている。そのため、杭施工時に伴う地盤の乱れの影響により杭周面摩擦力および杭先端支持力の設計値が確保されていないという現場報告も多く、現在、火山灰地盤における杭基礎設計法および施工管理手法が確立されていない状況にあるといえる。昨年度、春別道路新富橋において、火山灰地盤における場所打ち杭の鉛直支持力発現の確認を目的に杭の鉛直載荷試験を実施し、併せて電気式静的コーン貫入試験(Electric Cone Penetration Test以下CPT)による現場調査から杭周面摩擦力の評価を試みている。その結果、杭の鉛直支持力は杭先端支持力が大きく発現したため設計極限支持力を確保したものの、杭周面摩擦力が設計値を大きく下回った発現を示していることがわかった。今回、新富橋に近く同様な地層構成および火山灰特性を有する同路線の西風連橋において採用された場所打ち杭を対象に、杭周面摩擦力の発現および支持力機構の検証を目的に同様な試験を行った。また、当該箇所には被圧地下水の存在が確認されており、杭周面摩擦力の発現に与える被圧地下水の影響を検討する目的で被圧地下水流調査を実施した。ここでは、これらの現場試験調査結果に基づき、火山灰地盤における場所打ち杭の鉛直支持力特性ならびに今後の同路線における杭基礎の施工管理手法について検討したので報告する。 |