大島漁港は、周辺の豊富な水産資源を安全かつ効率的に活用するために不可欠な施設として、第4種漁港(避難港)の指定を受け、平成2年度より建設が進められている。この一帯は近海区域に指定され、厳しい海象条件に晒されているほか、島全体が貴重な自然環境を有していることから、漁港の建設に当たっては、厳しい自然条件や環境保全に関する数々の制約条件下で工事を進めることが求められている。大島は全島が『オオミズナギドリ海鳥繁殖地』として国指定の天然記念物に指定されていることや、火山島の極めて稀少な植生を持っていることなどから、環境に影響を及ぼさないよう工事を進める上で、細心の注意が必要である。これらの背景のもと、大島の建設当初の平成2年から「大島漁港建設環境調査検討委員会」が設置され、以後毎年環境保全の面から漁港建設についての方針が示されてきた。また、これと平行して、大島の自然環境の現状、工事の進捗に伴う環境の変化のモニタリングなどを行うための各種環境調査が実施され、これら大島の漁港建設に伴う環境保全への取り組みについては「平成9年度北海道開発局技術研究発表会」において報告した。本年度は、現在継続中の大島漁港の各種生態調査結果から、漁港建設に関わる生物生態の現状と、漁港建設区域内の植生復元対策の経過や課題などについて報告する。 |