直杭式横桟橋構造からなる室蘭港築地地区西2号埠頭は、現在も頻繁に使用されている施設である。しかし、建設から35年以上経過し老朽化が進行しているため、今年度より大口径鋼管杭を使用した『水中ストラット工法』による改良工事が進められている。その際、支持杭として設計された大口径鋼管杭の打込みには、バイブロハンマ(施工性)と油圧ハンマ(支持力確認)の併用工法を採用している。これは、現時点において、「港湾の施設の技術上の基準・同解説1)(以下、技術上の基準)」では支持杭として設計された鋼管杭を設計打止め位置までバイブロハンマで施工することが認められていないと解されるためである。一方、平成14年3月に改訂された「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(以下、2002道示)」において、支持杭として設計された鋼管杭のバイブロハンマによる振動打込み工法が新たに規定された。そして、静的支持力の算定には、打撃打込み工法と同様の静的支持力公式を用いるものとされているが、施工管理において必要とされる振動打込み工法に関する動的支持力管理式は明示されていない。このため、施工管理実務においては、鋼管杭協会等が提案している振動打込み工法に関する動的支持力管理式等が参考にされるものと考えられる。しかし、本工事において振動打込み工法を採用するには次に示す課題があった。①大口径鋼管杭の振動打込み工法に対する動的支持力管理式の適用性②Hiley系と道示系の動的支持力管理式の差異③上部に砕石置換層(柱)を有する地盤への大口径鋼管杭の打込み性能とこれに伴う砕石置換層(柱)の性状変化本文では、前記課題の解決に資する基礎データを蓄積するために実工事の一部において実施したバイブロハンマ施工杭の支持力管理等について報告する。 |