新千歳空港の滑走路を毎日供用しながら改良する。このためには、夜間工事で厚さ42cmのアスファルト舗装を切削し、一晩の間に復旧しなければならない。過去、国内の空港において、このような条件での施工実績はなかった。新千歳空港は昭和63年7月に供用を開始した。その後12年を経過した平成12年夏、A滑走路舗装面に異常が発生し、その後の調査により、アスコン層間の剥離や施工目地部の一部でアスファルト舗装が砂利状化していることが確認された。主な原因は、施工目地部などに発生したクラックから浸透した水分によるアスファルトの水浸劣化によるものと考えられる。このことから現在健全な部分も徐々に劣化して行くことが推察された。空港の滑走路はその特殊性から容易に代替えが利かないことや、大型の航空機が高速で離着陸するという他の交通とは違った条件から、より適切で確実な補修が求められる。そこで、空港機能を保持しながら、滑走路改良工事を実施することが要求された。様々な制約条件を考慮して『大粒径中温化アスコンを使用したシックリフト工法』という過去に例を見ない工法を採用したことから、現場での施工性、品質、技術的な課題の確認が重要であると考えた。本報告では施工管理データに基づき、改良工法を検証するとともに、工事に用いた高性能中温化剤等の新技術について報告するものである。 |