運河・石造り倉庫群など数多くの観光資源を有する小樽市は、観光都市として全国的に定着しており、観光入り込み客数も道道臨港線改築に伴う小樽運河の環境整備以後、着実に増加している。しかし小樽市中心部においては、観光交通と共に、札幌都市圏との通勤・通学、小樽港を起点とする物流など様々な交通の輻輳により渋滞等の交通事象が発生している。こうした小樽市周辺の交通渋滞は、深刻な状況として問題となっているが、渋滞の解消に対する地域市民のニーズは依然として高く、小樽開発建設部においても、これらの状況を踏まえ、道路交通センサス、トラフィックカウンター等を用い、渋滞状況の把握およびその対策の検討に努めてきたところである。その一方で、平成11年3月に大規模商業施設が開業したことにより、市内交通流の変化が認められており、現状の交通実態に則した交通対策として、道路改築などハード面だけでなく、TDM等ソフト対策も含めた的確な対処が求められるようになっている。しかしながら、現状の調査方法、例えば道路交通センサス旅行速度調査では、平日、休日の混雑時旅行速度のデータを用いた分析のみで、時間的な変化を考慮した施策の立案等は、十分といえない状況であった。今般、これらの状況を改善し、地域の渋滞状況、特に都市圏の渋滞状況を精度良く把握するため、プローブカーの走行によるデータ取得が試みられた。平成13年度に、全国17地域の対象箇所の一つとして小樽市が選定され、小樽開発建設部においては、リアルタイムで交通データを通信・収集するシステムの導入を図り、合理的なデータの分析を踏まえた施策の立案を目指した。この実験は3箇年の期間を予定しているが、本報告は初年度の結果について、概要を報告する。 |