北海道において、コンクリート廃材から再生された骨材は主として路盤材、裏込め材等へ利用されており、コンクリート用骨材としてはほとんど使用されていない。その理由として、現在用いられている一般的な処理方法ではモルタル分の付着、混入により、再生骨材の比重や吸水率など、コンクリート用骨材として要求される基本的な品質を満足するのが難しいことが挙げられる。特に凍結融解作用を受ける場合、吸水率の高い再生骨材を用いたコンクリートは耐凍害性に劣るため使用することができなかったのが現状である。しかし、近年、骨材に付着しているモルタル分を高度な処理により除去し品質を改善する技術が研究・開発され、普通骨材の品質に近い高品質の再生骨材が製造可能となっている。また、再生骨材と普通骨材を混合し品質を改善した骨材を用いても、配合を適切に設定することで所要の耐久性を満足するコンクリートを作れることが実験により明らかとなっている。再生骨材を用いたコンクリートの規準としては、JIS化を目指して標準情報(TR)「再生骨材を用いたコンクリート」が、平成12年11月に制定された3)。しかし、本TRの規定は高い耐凍害性が要求されるコンクリートを想定しておらず、凍害を受ける積雪寒冷地での再生骨材コンクリートの使用に関しては使用者独自の判断によるとしている。そこで、(社)日本コンクリート工学協会(JCI)北海道支部では、産学官共同で積雪寒冷地における再生骨材コンクリートの利用促進を目的とした委員会を設けて試験研究を行い、その成果を「プレキャスト無筋コンクリート用再生粗骨材の品質規格(案)」(以下規格(案)と記す)としてまとめ、本年4月に発行した。以上のような動向ではあるが、積雪寒冷地である北海道で再生骨材を用いたコンクリートの施工実績は未だほとんどなく、今後利用を促進するためには実施工による検証が不可欠である。そこで、札幌開発建設部では、岩見沢道路事務所管内一般国道12号の歩道改修工事において、「試験フィールド事業」の位置付けで再生骨材を用いた無筋コンクリート2次製品を使用し、製品の性能を評価することとした。製品の耐久性に関する調査は今後、継続して実施する予定であるが、本報では材料の試験結果、製品としての初期性能の評価および現場での施工状況等について報告するものである。 |