地すべりや斜面崩壊などの土砂災害を予知、予測する手法としては、白然斜面の地すべり崩壊に対する抵抗力の大小をもとにした素因としての危険度の判定と、災害の直接的誘因となる融雪、降雨、地震などの量的基準の設定、あるいは入為的作用の切土、盛土などの計算による危険度の判定や、地表変動計測による斜面崩壊時期の予知などによる手法がある。これらについては多くの調査、研究が行われているが、現在のところ明確な予知、予測方法は確立されていない。融雪誘因による地すべり崩壊が多く発生しており、北海道と新潟県の地すべり崩壊発生の年間分布で、月別の発生頻度は両者ともに融雪時の4月が最大であり、北海道の融雪時(4月~5月)の発生頻度は約45%を占めている。融雪誘因による地すべり土塊移動の発生時期は積雪の融雪が終了する頃で、地下水もこの時期に最高水位となっている。このことから融雪誘因による地すべり発生の危険度および時期を予測するためには、例年と比較した融雪の進行状態と根雪の融雪終了時期を予測する必要がある。自然現象における融雪は、日射、風速、気温、降雨など多くの要因に支配されて起きる。これらの要因をすべて含めた融雪機構は非常に複雑で、現在のところ調査、研究段階にある。ここでは、融雪の条件として最も大きい要因である気温(日最高気温)を取り上げ、気温変化による融雪の進行状態と消雪日の予測の可能性を検討した結果を報告する。 |