日本各地には、関東ロームをはじめとして様々な不良土が分布しているが、北海道においても高含水比の粘性土、高含水比・高塑性の火山灰質粘性土、あるいは、岩とも土ともつかないぜい弱岩などの不良土が分布しており、トラフィカビリティや盛土材として十分な強度が得られないため、道路建設や築堤工事の際の障害となっている。従来は比較的近くに捨土場所を確保できたことから、不良土を投棄し、良質土を採取することが多く、安定処理対策は限られた一部の施工現場でしか行われなかった。しかし最近では、周辺の環境保全上の制約に加えて、良質土の入手が困難になってきており、不良土そのものを盛土材として使用せざる得ない現場が増えてきた。ところが不良土対策については、古くから生じている問題にも拘わらず、具体的な調査から設計に至る手順を示す適当な手引書がなく、現場技術者を困惑せしめているのが実情である。そこで、土質研究室では、現場技術者のための実用的な不良土対策手法のマニュアル(手引書)を作成する目的で関連既往文献や各地の施工データなどを収集するとともに、過去6年間にわたって各開発建設部と対応した現場の中から、不良土の試料を収集して実験を行った。今回は、その結果を取りまとめ、「北海道における不良土対策マニュアル」(案)を作成したので、概要を報告するものである。 |